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世界一のオリーブ生産地ハエンで搾油
世界一のオリーブ産地ハエンで、今年もオリーブオイルの搾油を迎えることが出来ました。アーリーハーベストと呼んでいる極めて早摘みのウルトラプレミアムオイルは、収穫初日からわずか数日しか搾れない貴重品。昨年よりも今年の方が生産量があるということで、恐らく4,5日の搾油になる特別なオイルを毎年訪問して日本向けにボトル詰めを依頼しています。

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夜11時頃。2021-2022年度の新モノオイルを試飲

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このシーズン圧搾工場は深夜でも稼働

一年で一番楽しみな瞬間ですが、これを私は運よくも毎年体験しています。気候の暖かい南部から段々と北上するオリーブオイルの収穫を見ながら、各地のオイルを味わっていきます。次は恐らくポルトガル、そしてトレドという順で試していきます。

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写真に写っている建物がMonva社の搾油工場

これが世界一のオリーブ産地の風景。ハエンでも最も優れたオイルが生まれる地域。スペインにオリーブを伝えたのはフェニキア人だと言われていますが、本格的なオリーブ栽培を大規模な農業として開始したのはローマ帝国時代。アンダルシアはトライヤヌスやハドリアヌスという優れたローマ帝国出身ではない属州が生んだローマ皇帝の故郷なので、彼らの統治下で多大な進化を遂げたことがよくわかります。ローマ時代から変わらぬ産業を営んでいるという事のすごさに、何度訪問しても感心してしまいます。

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夜中にオイルの試飲をし、次の朝はMonva社のオリーブオイルオンパレードの食卓で朝食

オレンジジュースにたっぷりオイルをかけ、次はトースト。現地の人は生のにんにくをすりつけ、トマトをのせてからオリーブオイルをたっぷりとかけてパンを食べます。
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何度もお伝えしていますが、スペインで最も美味しいと思う朝食がこれです。
食べたらすぐに搾油所へ移動

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これ以上完璧はないと思えるほど美しいオリーブが収穫されていました。
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品質チェックしているルイスも満足そうでした。
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最高のオリーブオイルを作るには、材料となる果実の品質が重要ですが、ここまで来るのが長い道のり。様々な気候変化に対応しながら農園の人達が万全な管理をして、こんな状態で毎年生産ができるのです。
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毎年元気に迎えてくれるフェリペさん。今年も絶好調。コロナなんか怖がらずにオイル作りがパーフェクトな状態で進むよう、朝から深夜まで目を光らせてくれています。
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今年はまずグリーンバナナの香りや青草、オリーブリーフのアロマを感じましたが、辛さもとてもバランスがよい辛さで持続性があり、最後に緑茶、特に抹茶を思わせる味わいを強く感じました。搾りたてオイルをテイスティングするのは非常に難しく、日に日にオイルが開いていくので、ボトル詰めをするこの数日でまた味わいが変化すると思います。数日中に商品になったものが手元に届くので、それを再度テイスティングするのが楽しみです。

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日本にアーリーハーベストが到着したら、皆さん是非パンだけでなく、炊き立てのご飯にもかけてお試しください。ちょっとフロールデサル(海塩の結晶)をパラパラと振るだけで最高のご馳走になると思います。

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ゆで卵入りのピピラーナ
 
気になる農園料理ですが、アンダルシア定番のピピラーナというトマト、ピーマン、玉ねぎをメインとするサラダ。大体ガスパチョと同じ野菜が入りますが、今回はゆで卵とツナ入り。感動したのがアーティーチョークと生ハムのソテー。これもスペインでは定番ですが、アーティーチョークの茹で具合が素晴らしく感動しました。日本ではあまり食べられない野菜ですが、スペインでは最もおすすめの野菜です。
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そして、こちらがアスパラガスのソテー。オリーブオイルと塩だけの味付け。

数多くの野菜の中でこの2つがスペインでの大好物なので、最高に楽しめる食事でした。魚はスチームをかけたメルルーサ。日本でアーリーハーベストを楽しむ時、蒸した白身魚にオイルをかけることをイチオシします。スペインでは白身魚を茹でる素晴らしい料理があり、特にバスク地方では特別な鍋も存在します。アーリーハーベストをもっとも組み合わせるのにベストな一品だと思います。
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タラやメルルーサ、鯛などを蒸してオイルをかけることをおすすめします。

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パイナップルタルト

今回特別このタルトを焼いてくれました。ベースはヨーグルトと生クリーム。甘さ控えめでとっても優しい味のケーキでした。こんな風にどちらの農園を訪問してもお料理が楽しみなのですが、アンダルシアの場合、オリーブの漬物も重要です。しっかりコルナスエロという自生品種のオリーブの漬物もいただいてきました。
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食べ物の話はつきませんが、ポイントは上質なオリーブオイルさえあれば料理は極めてシンプルがおいしいという事だと思います。野菜ベースでチーズもフレッシュなお豆腐のようなものを選び、果物にもオイルを少々かけて食べるというスタイルが日常的。これならヘルシーに長寿が叶いそうです。オリーブと関わることは健康への道にもなりそうです。
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Monva社の皆さん車好きで色々な車のコレクションがありますが、ルノーの4Lはコレクターが多いヴィンテージカー。今回これに乗って農園巡りをしたのですが、パワーがあって驚きました。一度友人とこの車でポルトガルまで行ったことを思い出しました。本当に味のあるいい車です。
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帰途につく時にSierra Maginaシエラ・マヒナというこの地域のオイルのDOPになっている山が、クリアーによく見えました。この山の麓で山に守られながら古代から存在するこのオリーブ農園の最高の状態のオイルを、今年もまた日本に出荷できることを何よりも嬉しく思います。お陰様でファンも増え続けており、25%ほど量も増やして出荷します。農園の皆様の大変な努力と愛情が、日本のオイルファンの皆様にも伝わったのだと思います。今年も益々素晴らしいです。どうぞ到着をお楽しみに。
















# by angel-chiho | 2021-10-18 21:46 | Olive オリーブについて
17世紀スペインの家屋とインテリア
やっと17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの家を見学することが出来ました。
ずっと行きたくて仕方なかったのですが、予約制なのでなかなか訪問できませんでした。ここは私のカントリーハウス修復のアイデアの宝庫だろうと前から思っていたのですが、想像以上の収穫があり、今後の修復工事に絶対反映させたいアイデアがたくさんありました。

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まずこの階段に感動したのですが、ほぼ我が家と同じ状態の階段で、壁の塗り方や窓の設置の仕方まで全てが参考になりました。
階段を上がると目の前に小さなチャペルが設置されているのですが、それがとても可愛いチャペルで、ロペ・デ・ベガが熱心な信者であったことが上手く復元されていました。
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あちらこちらに設置されている装飾品がすべて当時のもので美しく、もっとじっくり鑑賞したかったのですが、頭の中で様々な家具や受け継いだ調度品をどんな風に配置したらいいのか相当明確になりました。扉もどれも17世紀当時のものでした。

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チャペルの隣はすぐに書斎になっています。写真の右側にある肖像画がロペ・デ・ベガの60代の様子を描いたものだそうです。彼は大成功を収めた劇作家で当時はセルバンテスよりも人気の作家でした。彼ら二人はライバル同士だったので、仲が悪かったと言われています。このロペ・デ・ベガの家がある通りの一本先が、セルバンテスの埋葬された修道院で、この偉大なふたりの作家を知るにはマドリード訪問が欠かせません。

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机の前にスペイン式の七輪のような円形の家具が置かれ周りに椅子が置かれていますが、こうして来客があると火を囲んで会話を楽しんだそうです。周りはすべて本で囲まれていますが、我がパートナーの理想の書斎がこのロペの書斎だと今日はじめて知りました。

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我が家に古本はかなり個人的に収集したものと、義理の両親から譲り受けたものがあるのですが、こんな家具をデザインして並べてみようかと思います。これらの本はペルガミーノとよばれる羊皮紙を使った本で、紙が豊富になかった時、スペインでは羊皮紙が紙の代わりに使用されていました。
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家具もすべてスペイン家具で統一されており、燭台やオイルランプも典型的なスペインのもので飾られていました。このタイプのオイルランプは複製品がよくありますが、17世紀当時のものはハンドメイドであることがしっかりと分かり、見惚れてしまう完成度の調度品でした。絵画も可愛い子供が描かれていて微笑ましく、子供がテーマの作品のように見えますが、これも完全なる宗教画でスペインらしい作品です。

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今回一番気に入ったのがダイニングルーム。これはロペが残した家の記述を基に復元されているのですが、彼の家にはしっかりとしたダイニングルームがあったそうです。17世紀静物画や陶器、ベネチアングラスまで飾られており、とてもお洒落な人のダイニングルームになっていました。田舎の我が家も見習いたい部屋です。キャビネットもこんな感じのものを探してみたくなりました。

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こちらがキッチン。
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そして何より素敵だったのが、このタペストリーの使い方。スペインには世界一のタペストリーコレクションがあるくらい、歴史的にタペストリーは重要なもので生活に密接に関係していました。フランダースからのタペストリーは高級品でステイタスの象徴。家の格が上がる調度品です。タペストリーには目がないので自分でも作りますが、古いものの色合いは復元不可能な貴重なもので、いつかこんな風に使えるものを作るか、小さくてもいいので手に入れたいと思います。
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天蓋付きの寝具は圧迫感があり、現代の暮らしにあまり復元したいと思いませんが、ここにロペのファミリーがそれぞれの部屋で暮らしていたかと思いを巡らせるにはピッタリのセッティングでした。ロペの寝室、息子たちの寝室、母親と娘の寝室と3つ復元されていました。

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17世紀のスペイン陶器花瓶。
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宗教画も愛らしい作品が展示してあり、宗教に関係なく楽しめるものばかりでした。
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パティオに残るロペ在住の時からあるオリジナルの井戸。今でもしっかりと水があります。植木はロペが住んだスペイン各地を代表するものが植えられており、レモン、月桂樹、ザクロなどが目立っていました。
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そろそろぶどうの収穫が真っ盛りになりますが、ここのぶどうもいい感じで育っていました。パティオに本当はぶどう棚が私も欲しいのですが、ぶどうを植えるとハエや蜂が来るようになるということで、断念せざる終えないかもしれません。その代り藤またはジャスミンを植えようと考えているところです。
今日はインテリアだけでなくパティオのアイデアまである実り豊かな訪問となりました。










# by angel-chiho | 2021-08-30 07:46 | Madrid マドリード
グアダムール城の再生
思い出深いルネッサンスの城グアダムール。スペインの城塞の傑作です。ここは私がスペインに来て間もない頃、パートナーの建築ファミリーのご縁で訪れたことがあります。当時最も優れた文化財で不動産として売買されている物件として見学しました。日本はバブルで盛り上がっていた頃の話なので、日本企業が投資したらいいのにと思いながら城を見たことを憶えています。
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その後、この町のアンティークディーラーと知り合い、結構長期に渡って取引をしたので、城の経過はディーラーを通じて聞いていましたが、なかなか投資家がおらず手古摺っていることをいつも話ていました。確かにこういう物件は修復にどのくらい予算が必要か計算するのが難しいので、リスクのある投資です。文化財へのボランティア精神がないと出来ないチャレンジだと思います。
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近年よくTV番組やドラマなどでこの城がロケ地になっているので、城は売却され修復が始まったことは聞いていたのですが、実際に訪問するチャンスは先日までありませんでした。皆さんきっとこの城がいくらで販売されたか興味をお持ちだと思うのですが、それほど大きな金額ではないのです。日本円にして約3億円です。2004年頃売却されプライベートな城として補助金などにも頼らず、修復がもう15年以上も続いています。気になる修復費用ですが、この15年間にもう10億円近く投資しているそうです。それだけあって公共施設になってしまった城郭と違い、素晴らしい修復工事が施されています。今度チャンスがあったら、あまり良くない修復例もご紹介しますが、これは本当にすごい愛情を込めた修復が時代に忠実に実施されています。
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この城を建設した一族の紋章もしっかりとあらゆる場所に残っています。19世紀の終わりの修復工事はロマンチックなムードを作っていましたが、お化け屋敷のようだった初回に訪問した際の様子は感じられず、隅々まで綺麗に補修され、城が生き返っていました。

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階段は19世紀終わりのリフォームで造られたものですが、これも長い年月をここで過ごし、今ではすっかり城に馴染んでいました。19世紀終わりに修復をはじめた伯爵はきっと天国で大喜びでしょう。偶然昔ここを訪れた私がこんなに嬉しいのですから、この城を設計した天才建築家グアス一族などのスピリットは、修復工事を間違いなく見守っているはずです。

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スペインにはパラドールという国立のホテルチェーンがありますが、優れた文化財である城や修道院などが修復されホテルになっています。このプロジェクトは20世紀はじめのスペインの観光事業プロジェクトですが、最も優れたビジネススタイルのひとつで、現在でも政治家が最も欲しがる赴任ポジションです。文化財が輝いている村や町は、小さくて人口が少なくても住民が暮らしてゆくためのツールとなり、パラドールがある町とない町では天と地の差があります。偉大な建造物や美術品の価値はある意味無限です。現代人が造るものがどのくらい存続可能なものであるのか疑問に思えるものばかりです。
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# by angel-chiho | 2021-08-10 16:41 | Castillos 城
ロゼワインブームの火付け役はポルトガルのロゼ?!

ロゼワインといえばマテウスロゼという名前を思い出しませんか。今世界中でブームのロゼワインの人気の火付け役は、ポルトガルのマテウスロゼが大きく貢献しています。特に日本ではワイン=赤玉ポートワインからはじまり、カジュアルなロゼはマテウスというように、以外とポルトガルワインが浸透しているのです。驚きですよね。

マテウスロゼは、第一次世界大戦の時に兵士が使っていたボトルデザインを利用してポルトガルで造られたロゼですが、アメリカや日本を含むアジアで60年代から70年代に一世を風靡しています。今でもサントリーが販売するとっても素敵なワインメーカーです。

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ラベルになっている宮殿は現在訪問可能で、私はこの宮殿の庭が大好きで何度か訪れています。マテウスロゼが世界的に有名なことを不思議に思ったのですが、ポルトガルワインを輸入する仕事に携わるまであまり深くマテウスについて調べたことはありませんでした。ポルトガルには偉大なワイン商人がいるものです。


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                                  @bordeaux.com

ロゼワインの人気はフランスでは市場全体の3割、アメリカではおよそ半分を占めているそうです。私はリベラ・デル・ドゥエロは過ごすので地元の人がどんなワインを飲んでいるのか観察していますが、ロゼと似たクラレテというワインを皆飲んでいます。クラレテは赤ワインと白ワインをミックスさせてつくるので、ロゼワインではないのですが、地元の人が最も好むワインで、産地の高齢者は1日2本くらいクラレテを飲み、これが長寿の秘訣だといいます。


ちょっとロゼワインの製法の説明をさせてください。基本的にロゼワインは赤ワイン用の黒ぶどうから造られます。色々なカラースケールがあり、本当に淡いバラ色のものから濃い赤のロゼまであり、インスタ映えするワインと言われ最近の人気はこのインスタのイメージが影響しているようです。製造法は大きく分けて2つあり、白ワインの直接圧搾法、赤ワインのマセラシオンセニエ製造法どちらかで造られています。キレイな淡いピンクの場合は、白ワイン製法、段々とピンクのトーンが濃くなっていくとマセラシオン、セニエ法が用いられていると思ってください。


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写真のようにカラースケールは、製造法またぶどう品種によっても違いますが、ロゼの魅力は適度の酸味とタンニン、そしてなにより軽さと爽やかさが人気のひみつ。フードペアリングの幅も広く、和食、洋食、肉や魚関係なくペアリングしやすいのが特徴です。夏、ピクニックやバーベキューの際にカジュアルに楽しむには最高のワインです。お寿司などにも淡いロゼは良く合い、ヴィジュアル的にも食事を豊かにしてくれます。今まで白ワインを好んで飲んでいた方、ロゼワインをトライしてみてください。白ワインと同じようなライトさに、もう少しフローラルな香りが加わり、あなたのライフスタイルにバラ色を添えてくれます。


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750ml ¥2000(税別)


こちらポルトガルのドウロ川上流カームのワイナリーで作られるCARM ROSE。ポルトガルの赤ワインぶどうの女王格トゥリーガ・ナショナル種100%使い、白ワイン製法で造られる贅沢な本格的ロゼです。クールな切れの良さの中にフローラルノートが存在し、ベリーの香りも感じられる上品な仕上がりです。ドウロでもっとも優れたロゼワインとしてコンクールでも選ばれています。8℃から10℃くらいに良く冷やして飲むのがおすすめです。

暑い季節、どうしても白ワインやビールなどライトな飲み物が欲しくなります。ロゼワインのブームは現代のライフスタイルにピッタリなのだと思いますが、ワインの産地ではおじいちゃんが好んで飲んでいる伝統ワインです。彼らのエネルギーのもとはきっとワインによるところが大きくあると思うのですが、ワインを飲んで暮らしている人々の笑顔は、日本のワインを愛する人にも広がっていくと思っています。ワインのあるライフスタイル。今の日本にもっと必要なものではないでしょうか。



# by angel-chiho | 2021-07-24 06:46 | Wine ワイン
食と美術 ムデハル様式
美味しいオリーブオイルやワインを選ぶ時、必ず感動のあるものかどうかを大切にしています。自分の中で湧き上がる感動のレベルを知る事もとても重要だと思っています。そのために必要なのが芸術品との交わりです。最高と思える感動があった場合、食も美術も自分の中でなんとなく同じような部分が反応しているようで、特に完成度が高い食やワインの場合はカラダ全体の細胞が目覚めるような感じです。
田舎へ行く度に通るCuellarクエヤルに、スペイン独特のムデハル様式というイスラム美術の影響を受けた重要なチャペルがあるのですが、やっと何年越しかで見たかったものを見学できました。
スペインの歴史はイスラム、ユダヤ、キリスト教が混じり合い、とっても複雑なので未知の世界だと思いますが、これだけ文化交流があると豊かな美術史があります。その中でもムデハル様式は、基本的にアラビア建築がキリスト教徒の元で開花したものなので珍しく貴重です。
Iglesia de San Esteban Cuellar
外観は極めてシンプルなロマネスク建築。恐らく12世紀には創立されていました。
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アラビックなモチーフを持つアブス(祭壇の後部にある半円形の周壁)。イスラム国にあるような建造物ですが、カスティーリャ中心部には膨大な数の煉瓦造りのこのような建造物が残っています。石造り100%キリスト教徒のロマネスク建造物と違い、理解するのに時間がかかるのがムデハル様式ですが、スペインがヨーロッパの中でも特別な歴史を形成している証でもあるムデハル様式は、知れば知るほど奥深い美しさのあります。
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こちら2つの棺がずっと観たかった15世紀の石棺。オリジナルの色彩も残っています。
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これがスペインのゴシック時代に造られた石棺で、デコレーションはアラビア様式にキリスト教徒の影響がたっぷりと含まれています。紋章は西洋のデザインですが、細部を見ていくとイスラムそのものの模様とゴシックもモチーフが上手く混ざりあっています。
食の世界だったら素晴らしいフュージョンと表現するのかもしれません。
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ゴシックのモチーフはまるでボビンレースのようですが、イスラムの飾りも決して負けずより細かく豪華です。このような文化の融合が生む建造物やライフスタイルは、今でも根強くスペインに残り、生活そのもののベースにあるので、スペイン料理が豊かでないはずがありません。ぶどう畑やオリーブ畑ひとつ見ても、長い歴史に培われた膨大な人々の献身的な手仕事の痕跡が感じられます。
今、オリーブオイルやワインの世界を通じてスペインやポルトガルの魅力をお伝えする仕事をしていますが、背後に圧倒的な重厚感で食の素晴らしさを支えてくれている文化も一緒にできるだけお伝えしたいと思っており、どんな風に伝えたら良いのか、あまりに膨大すぎてどこから手をつけたらいいのか分からないくらいです。





# by angel-chiho | 2021-07-17 06:12 | Castilla カスティーリャ





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