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聖アントンの豚
今年の秋は雨不足で心配だったのですが、やっと昨日から雨が降り始めました。気温もぐっと下がるようなので秋というより冬が近い感じです。

この季節サラマンカの村々では、聖アントンの日に生贄になる放し飼いの豚の姿を見かけます。7月くらいから有名なイベリコ豚を一匹村人が育てるのです。町や村を一日中一匹の豚が悠々と自由に歩いている姿は非常に印象的で、最初は驚きましたが、とても微笑ましい伝統のひとつだと思います。

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豚は村人が1月の聖アントンの日までに十分太らせ、最終的には村の誰かのものになります。スペインでは昔から豚一頭を殺し、1年分のソーセージやハム、所謂保存食を作るという儀式『マタンサ』というものがありますが、地域によっては、そのマタンサ用の豚を村でこのように育て、宝くじのように当てるという風習が残っているのです。マタンサの儀式というか習慣は、ファミリーや地域によって違い、大体11月から1月がピークのシーズンです。マタンサには、私も何度か参加させてもらったことがありますが、豚の悲鳴と大量に血が出る作業なので、ちょっと苦悩な経験なのですが、伝統は伝統として受け入れなくてはなりませんよね。いつかマタンサでソーセージの作り方をマスターするのが、ここ数年の目標です。

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今年発見した豚は、12歳くらいの男の子がとても可愛がっていて、古い町並みの中で豚に抱きついている少年の姿は忘れられません。毎日学校から帰って、きっとまずは豚に餌をあげに行くのだろうなぁと、豚を殺してしまう儀式は悲しいけれど、子供にとっては豚をペットのように楽しめる、とてもよい行事に思えました。アーモンドや栗で村中の人に可愛がられながら育ったこのイベリコ豚、きっと味は最高でしょう。

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イベリコ豚はおっとりとしていて大人しく、みんなに撫でられられながら大きくなっていました。
あまりにも大人しくて温厚なので本当にビックリ。
by angel-chiho | 2009-10-22 05:01 | Food Culture 食文化
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