人気ブログランキング | 話題のタグを見る
Top
Hospital de Tavera

前回に引き続きエル・グレコについてのお話です。

Hospital de Tavera_c0213220_4373748.jpg


トレドで本格的なイタリア・ルネッサンス建築を見にはここがベストだと思います。16世紀後半の建造物ですが、一部は病院、残りは宮殿、そして教会は建物のオーナーファミリーの霊廟にもなっています。枢機卿タベラが創設した建物ですが、エル・グレコと深い関わりがあり、枢機卿の素晴らしい肖像画だけでなく、エル・グレコが最後に未完成のまま残した作品も残っています。

Hospital de Tavera_c0213220_444896.jpg
絵画の映像はFundacion Casa de Medinaceliからお借りしました。

スペイン画家にはない本当に素晴らしい色合いです。写真では見ることのできない繊細な線は、絵に近づかないとわかりませんが、言葉にならない感動的な肖像画です。きっとエル・グレコとタベラ枢機卿は悪い仲ではなかったのだと思います。枢機卿のデリケートな人柄が絵に現れています。

絵は宮殿内一角に他のエル・グレコの傑作と共に展示されていますが、美術館とは違う空気の中で見ることができます。

教会には、この枢機卿の棺も残っていますが、立派な大理石の棺でAlonso Berrugueteという画家でもあり彫刻家でもあったルネッサンス後期の傑作です。


Hospital de Tavera_c0213220_4514168.jpg
肖像画と同じ部屋に展示してあるサグラダ・ファミリアSagrada Familia(聖家族)。エル・グレコは同じテーマの作品をたくさん描いていますが、この絵には特別な意味があります。

描かれている人々は全てエル・グレコ自身と彼の家族。聖母マリアはエル・グレコの妻、サンタ・イサベルは義母。そしてキリストは勿論、息子と、自らのファミリーをモデルに描いているのです。絵に特別な温かさがあるのは、そんなところに理由があるのだと思いますが、この聖母マリアはエル・グレコの作品の数多いマリアの中でも最高のものだと思います。







Hospital de Tavera_c0213220_4501086.jpg

こちらがキリストの洗礼。
エル・グレコ最後の作品です。
教会の中で見ることが出来ます。教会の中は非常に寒いので、しっかりと鑑賞したい方は、特に防寒対策をして行くことをおすすめします。

他にも宮殿の中には、傑作がたくさんありますので、トレドに行くチャンスがあったら是非訪れてみてください。
残念ながらツアーに組み込まれることは少ないので、自由時間がしっかりとあるツアーを選ばれるといいと思います。







Hospital de Tavera_c0213220_505874.jpg

パティオに入ると純粋なルネッサンス建築であることがよく分かります。
建築家はスペイン人のコバルビアスですが、スタイル的には100%フィレンツェのルネッサンスです。フェリペ2世が建造したエル・エスコリアルとは全く違うので、それぞれの創設者の趣味の違いがわかって楽しいです。

私は勿論エル・エスコリアル宮殿ではなく、美術品のコレクションも建物もこちらのタベラ病院が好みです。

ところで、昔はどんな感じだったのでしょうか。この建物半分以上は病院だったので、宮殿からは病人の様子がよく見えたでしょうし、感染病などのことも考えると、かなり不思議なコンビネーションの建物です。

クリックして応援してくださいね。励みになります!Gracias.


by angel-chiho | 2012-02-25 05:08 | Art 美術
<< 雑誌『ボディ+美活』でオリーブ... 元気が出るエル・グレコの絵画 >>





このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます
copyright(c)2009 angel-chiho All rights reserved