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由緒正しい町ワンバWAMBA

カスティーリャの複雑で奥深い歴史は、吸収し理解するのに時間が掛かります。6世紀からスペインを支配した西ゴート歴代の王たちと深い関わりのあるWAMBAの村へは、もう5,6回訪れていますがその度に新しい発見があり、玉ねぎの皮をむくように徐々に時間を遡っている気分になります。

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優秀なガイドさんが昔は修道院であった今は小さな教会の説明をしてくれました。前回は年老いた老神父だったのですが。9世紀頃の歴史を短時間で語るのは困難。スペイン王家と関係が深い騎士団の事を説明しながら上手く語ってくれました。他の訪問者が立ち去った後、気になるこの教会を飾る数々の柱頭について質問してみることにしました。

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柱頭は聖水を入れる器になっており、大型の立派な大理石のコリント式。ローマ時代のモノか西ゴート時代のモノかを知りたかったのですが、なんとこれはビザンチン王朝からのモノで、恐らく9世紀から10世紀頃にスペインに運ばれて来たものだそうです。昔の人は価値あるものを選ぶ審美眼を持っていたので、神聖な場には必ず優れたものを設置しています。王家と関係のある修道院となればなおさら素晴らしいモノがあるはず。コリント様式の柱頭といってもスタイルがあり、これは特にビザンチンで一定の時期だけ作られたものなので、出所が確定出来るそうです。

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このタイプのものはスペイン7個残っているそうで、そのうちの6個がカスティーリャのこのヴァイヤドリッド周辺にあり、残り一個がトレドにあるらしい。

カスティーリャの中心ヴァイヤドリッド周辺は、黄金の川と呼ばれるドゥエロ川が流れ、その周辺は古代ローマの時代からヴィラ(荘園の一種)があった豊かな地域。ローマ皇帝テオドシウスの生地もあまり遠くありません。ガイドとの話で勝手に想像を巡らせただけなのですが、当時、このような建造物に投資できる人々はわずか。間違いなく王家の誰かが集めたに違いないと私も思います。

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スペインのコカという町に生まれた皇帝テオドシウス1世の銅像。写真はCandido Lopez Sanz氏のものをWikipediaよりお借りしました。


そんな思いを巡らせながら、次の日San Roman de Hornijaという村を訪問。ここは今では最高の赤ワインを作る村として有名ですが、村の中心に残る教会は西ゴート時代を起源とする重要な建物であり、素晴らしい大理石の柱や柱頭が残っています。
数年前訪れた時、かなり西ゴートの建造物を残す部分の老朽化が進みどうなることかと心配だったのです。楽観的にそろそろ自治体の予算で修復が進んでいるだろうと思ったのですが、予想は全く外れ建物は崩れ、柱はまるで一本の枯れ木のようにずさんに倒れていました。

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通りかかった老人に聞いてみると、ある日建物は崩れ柱頭だけは村の人が保管しているそうです。100年くらい前のスペインを語る本を読むと、よくこういう話はあるのですが、21世紀の今まだこんな事が多発するスペインは、本当に文化財が多すぎて守り切れない国なのでしょうか。文化遺産は公共機関が守るものではなく、地元の人が守り続けるものだとなぜか強く感じてしまいました。



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by angel-chiho | 2017-08-05 04:10 | Castilla カスティーリャ | Comments(0)
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