世界一のオリーブ産地ハエンで、今年もオリーブオイルの搾油を迎えることが出来ました。アーリーハーベストと呼んでいる極めて早摘みのウルトラプレミアムオイルは、収穫初日からわずか数日しか搾れない貴重品。昨年よりも今年の方が生産量があるということで、恐らく4,5日の搾油になる特別なオイルを毎年訪問して日本向けにボトル詰めを依頼しています。
夜中にオイルの試飲をし、次の朝はMonva社のオリーブオイルオンパレードの食卓で朝食 オレンジジュースにたっぷりオイルをかけ、次はトースト。現地の人は生のにんにくをすりつけ、トマトをのせてからオリーブオイルをたっぷりとかけてパンを食べます。 何度もお伝えしていますが、スペインで最も美味しいと思う朝食がこれです。 食べたらすぐに搾油所へ移動 今年はまずグリーンバナナの香りや青草、オリーブリーフのアロマを感じましたが、辛さもとてもバランスがよい辛さで持続性があり、最後に緑茶、特に抹茶を思わせる味わいを強く感じました。搾りたてオイルをテイスティングするのは非常に難しく、日に日にオイルが開いていくので、ボトル詰めをするこの数日でまた味わいが変化すると思います。数日中に商品になったものが手元に届くので、それを再度テイスティングするのが楽しみです。 ゆで卵入りのピピラーナ 気になる農園料理ですが、アンダルシア定番のピピラーナというトマト、ピーマン、玉ねぎをメインとするサラダ。大体ガスパチョと同じ野菜が入りますが、今回はゆで卵とツナ入り。感動したのがアーティーチョークと生ハムのソテー。これもスペインでは定番ですが、アーティーチョークの茹で具合が素晴らしく感動しました。日本ではあまり食べられない野菜ですが、スペインでは最もおすすめの野菜です。 そして、こちらがアスパラガスのソテー。オリーブオイルと塩だけの味付け。 数多くの野菜の中でこの2つがスペインでの大好物なので、最高に楽しめる食事でした。魚はスチームをかけたメルルーサ。日本でアーリーハーベストを楽しむ時、蒸した白身魚にオイルをかけることをイチオシします。スペインでは白身魚を茹でる素晴らしい料理があり、特にバスク地方では特別な鍋も存在します。アーリーハーベストをもっとも組み合わせるのにベストな一品だと思います。 タラやメルルーサ、鯛などを蒸してオイルをかけることをおすすめします。 今回特別このタルトを焼いてくれました。ベースはヨーグルトと生クリーム。甘さ控えめでとっても優しい味のケーキでした。こんな風にどちらの農園を訪問してもお料理が楽しみなのですが、アンダルシアの場合、オリーブの漬物も重要です。しっかりコルナスエロという自生品種のオリーブの漬物もいただいてきました。 #
by angel-chiho
| 2021-10-18 21:46
| Olive オリーブについて
やっと17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの家を見学することが出来ました。
ずっと行きたくて仕方なかったのですが、予約制なのでなかなか訪問できませんでした。ここは私のカントリーハウス修復のアイデアの宝庫だろうと前から思っていたのですが、想像以上の収穫があり、今後の修復工事に絶対反映させたいアイデアがたくさんありました。 階段を上がると目の前に小さなチャペルが設置されているのですが、それがとても可愛いチャペルで、ロペ・デ・ベガが熱心な信者であったことが上手く復元されていました。 そして何より素敵だったのが、このタペストリーの使い方。スペインには世界一のタペストリーコレクションがあるくらい、歴史的にタペストリーは重要なもので生活に密接に関係していました。フランダースからのタペストリーは高級品でステイタスの象徴。家の格が上がる調度品です。タペストリーには目がないので自分でも作りますが、古いものの色合いは復元不可能な貴重なもので、いつかこんな風に使えるものを作るか、小さくてもいいので手に入れたいと思います。 パティオに残るロペ在住の時からあるオリジナルの井戸。今でもしっかりと水があります。植木はロペが住んだスペイン各地を代表するものが植えられており、レモン、月桂樹、ザクロなどが目立っていました。 今日はインテリアだけでなくパティオのアイデアまである実り豊かな訪問となりました。 #
by angel-chiho
| 2021-08-30 07:46
| Madrid マドリード
思い出深いルネッサンスの城グアダムール。スペインの城塞の傑作です。ここは私がスペインに来て間もない頃、パートナーの建築ファミリーのご縁で訪れたことがあります。当時最も優れた文化財で不動産として売買されている物件として見学しました。日本はバブルで盛り上がっていた頃の話なので、日本企業が投資したらいいのにと思いながら城を見たことを憶えています。
近年よくTV番組やドラマなどでこの城がロケ地になっているので、城は売却され修復が始まったことは聞いていたのですが、実際に訪問するチャンスは先日までありませんでした。皆さんきっとこの城がいくらで販売されたか興味をお持ちだと思うのですが、それほど大きな金額ではないのです。日本円にして約3億円です。2004年頃売却されプライベートな城として補助金などにも頼らず、修復がもう15年以上も続いています。気になる修復費用ですが、この15年間にもう10億円近く投資しているそうです。それだけあって公共施設になってしまった城郭と違い、素晴らしい修復工事が施されています。今度チャンスがあったら、あまり良くない修復例もご紹介しますが、これは本当にすごい愛情を込めた修復が時代に忠実に実施されています。 スペインにはパラドールという国立のホテルチェーンがありますが、優れた文化財である城や修道院などが修復されホテルになっています。このプロジェクトは20世紀はじめのスペインの観光事業プロジェクトですが、最も優れたビジネススタイルのひとつで、現在でも政治家が最も欲しがる赴任ポジションです。文化財が輝いている村や町は、小さくて人口が少なくても住民が暮らしてゆくためのツールとなり、パラドールがある町とない町では天と地の差があります。偉大な建造物や美術品の価値はある意味無限です。現代人が造るものがどのくらい存続可能なものであるのか疑問に思えるものばかりです。 #
by angel-chiho
| 2021-08-10 16:41
| Castillos 城
ロゼワインといえばマテウスロゼという名前を思い出しませんか。今世界中でブームのロゼワインの人気の火付け役は、ポルトガルのマテウスロゼが大きく貢献しています。特に日本ではワイン=赤玉ポートワインからはじまり、カジュアルなロゼはマテウスというように、以外とポルトガルワインが浸透しているのです。驚きですよね。 マテウスロゼは、第一次世界大戦の時に兵士が使っていたボトルデザインを利用してポルトガルで造られたロゼですが、アメリカや日本を含むアジアで60年代から70年代に一世を風靡しています。今でもサントリーが販売するとっても素敵なワインメーカーです。 ロゼワインの人気はフランスでは市場全体の3割、アメリカではおよそ半分を占めているそうです。私はリベラ・デル・ドゥエロで夏は過ごすので地元の人がどんなワインを飲んでいるのか観察していますが、ロゼと似たクラレテというワインを皆飲んでいます。クラレテは赤ワインと白ワインをミックスさせてつくるので、ロゼワインではないのですが、地元の人が最も好むワインで、産地の高齢者は1日2本くらいクラレテを飲み、これが長寿の秘訣だといいます。 ちょっとロゼワインの製法の説明をさせてください。基本的にロゼワインは赤ワイン用の黒ぶどうから造られます。色々なカラースケールがあり、本当に淡いバラ色のものから濃い赤のロゼまであり、インスタ映えするワインと言われ最近の人気はこのインスタのイメージが影響しているようです。製造法は大きく分けて2つあり、白ワインの直接圧搾法、赤ワインのマセラシオンかセニエ製造法どちらかで造られています。キレイな淡いピンクの場合は、白ワイン製法、段々とピンクのトーンが濃くなっていくとマセラシオン、セニエ法が用いられていると思ってください。 750ml ¥2000(税別) こちらポルトガルのドウロ川上流カームのワイナリーで作られるCARM ROSE。ポルトガルの赤ワインぶどうの女王格トゥリーガ・ナショナル種100%使い、白ワイン製法で造られる贅沢な本格的ロゼです。クールな切れの良さの中にフローラルノートが存在し、ベリーの香りも感じられる上品な仕上がりです。ドウロでもっとも優れたロゼワインとしてコンクールでも選ばれています。8℃から10℃くらいに良く冷やして飲むのがおすすめです。 暑い季節、どうしても白ワインやビールなどライトな飲み物が欲しくなります。ロゼワインのブームは現代のライフスタイルにピッタリなのだと思いますが、ワインの産地ではおじいちゃんが好んで飲んでいる伝統ワインです。彼らのエネルギーのもとはきっとワインによるところが大きくあると思うのですが、ワインを飲んで暮らしている人々の笑顔は、日本のワインを愛する人にも広がっていくと思っています。ワインのあるライフスタイル。今の日本にもっと必要なものではないでしょうか。
#
by angel-chiho
| 2021-07-24 06:46
| Wine ワイン
美味しいオリーブオイルやワインを選ぶ時、必ず感動のあるものかどうかを大切にしています。自分の中で湧き上がる感動のレベルを知る事もとても重要だと思っています。そのために必要なのが芸術品との交わりです。最高と思える感動があった場合、食も美術も自分の中でなんとなく同じような部分が反応しているようで、特に完成度が高い食やワインの場合はカラダ全体の細胞が目覚めるような感じです。 田舎へ行く度に通るCuellarクエヤルに、スペイン独特のムデハル様式というイスラム美術の影響を受けた重要なチャペルがあるのですが、やっと何年越しかで見たかったものを見学できました。 スペインの歴史はイスラム、ユダヤ、キリスト教が混じり合い、とっても複雑なので未知の世界だと思いますが、これだけ文化交流があると豊かな美術史があります。その中でもムデハル様式は、基本的にアラビア建築がキリスト教徒の元で開花したものなので珍しく貴重です。
Iglesia de San Esteban Cuellar 外観は極めてシンプルなロマネスク建築。恐らく12世紀には創立されていました。 これがスペインのゴシック時代に造られた石棺で、デコレーションはアラビア様式にキリスト教徒の影響がたっぷりと含まれています。紋章は西洋のデザインですが、細部を見ていくとイスラムそのものの模様とゴシックもモチーフが上手く混ざりあっています。 食の世界だったら素晴らしいフュージョンと表現するのかもしれません。 ゴシックのモチーフはまるでボビンレースのようですが、イスラムの飾りも決して負けずより細かく豪華です。このような文化の融合が生む建造物やライフスタイルは、今でも根強くスペインに残り、生活そのもののベースにあるので、スペイン料理が豊かでないはずがありません。ぶどう畑やオリーブ畑ひとつ見ても、長い歴史に培われた膨大な人々の献身的な手仕事の痕跡が感じられます。 今、オリーブオイルやワインの世界を通じてスペインやポルトガルの魅力をお伝えする仕事をしていますが、背後に圧倒的な重厚感で食の素晴らしさを支えてくれている文化も一緒にできるだけお伝えしたいと思っており、どんな風に伝えたら良いのか、あまりに膨大すぎてどこから手をつけたらいいのか分からないくらいです。 #
by angel-chiho
| 2021-07-17 06:12
| Castilla カスティーリャ
|
カテゴリ
Madrid マドリード Castilla カスティーリャ Country Life 田舎生活 Olive オリーブについて Portugal Trip 旅 History 歴史 Castillos 城 Food Culture 食文化 My Kitchen レシピ付き Wine ワイン Art 美術 Project プロジェクト歴 Hotel Life Powerdio パワジオ倶楽部 Garden 庭 Making of 日本 お気に入り Old Photos シークレットスペインについて
25年以上に及ぶスペインでの生活で発見した私なりの美しくてシンプルな伝統と歴史を感じさせてくれるスペインを紹介中。
オリーブオイルやワインのこと、スペイン美術、旅や食についてことが主なテーマです。 スペインについて色々なコンサルも承っております!コーディネート(雑誌、テレビ)、インポーター・バイヤーのアテンド、翻訳、日西関係のコンサルティング、ご相談はまずはメールでお知らせください。 Email: angel-chiho-spain@nifty.com Angel&Chiho -Profile- -掲載雑誌一覧- mixi -シークレットスペイン(コミュニティ)- スペインとオリーブの専門店 -Chihoのオリーブ便り- 旅行口コミ情報 トリップアドバイザーのお勧め ブロガーに紹介されました★ リンク RIKAのSKIP気分Haruki's way 抹茶のレシピ Grazie mille Recuerdos, anoranzas y semblanzas Lo invisible en el arte アロナチュラ Leyendas de la Mota del Marques FILEファイル 素食な生活 美容家吉川千明のオーガニックビューティー 続*ジャスミンの料理手帖 みどりの雑貨屋 帆足本家『富春館』 庭園小噺 お気に入りブログ
gyuのバルセロナ便り ... パリでリラックス 匂いのいい花束。ANNEXE。 はれ、のちくもり PARIS+ANTIQUE mizutama times 北イタリア自然派生活 イギリスのLife Ac... coupe-feti savi_savi おり... [ ACID NATUR... 日々是手帖 Rose Anciennes おかやんの花日記 幸せなシチリアの食卓、時... 以前の記事
2021年 10月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 08月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 01月 検索
ライフログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||