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ルネッサンスの風 1  Grajal de Campo
あるルネッサンス期の板絵を観に行ったことを切っ掛けに、ルネッサンス三昧の一日を過ごすことが出来ました。中でも前々からその素晴らしいルネッサンスの要塞建築で有名な、Grajal de Campoグラハル・デ・カンポという町は訪問してみたかったのですが、まさか宮殿の方がこんなに素晴らしいとは思いも寄りませんでした。

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城には、巨大な大砲が設置されたままになっていて、当時の様子が伺えます。これが修復されて、展示品もセットされてしまうと、現在の状態のような独特の本物の味がなくなってしまうので、このような姿でみることができてとてもラッキーでした。これだけ立派だと、いずれ修復されてしまうと思うので。左に小さく見える建物が、ほぼ同年代に作られた、これもルネッサンス期の宮殿です。

ルネッサンスの風 1  Grajal de Campo_c0213220_183124100.jpg町の城壁は残っていませんが、教会に隣接した昔の門は残っており、そこから町に入ったのですが、まずはここで感動の一品を発見。この距離からだと分かり難いのですが、門のアーチの上の部分に白いものがあるのです。私にとって、こういうシーンは、一生忘れられないものとなりますが、さぁ何でしょうか。次の写真がその答えになります。

イスラム教徒の人々がスペインに生息していた時代、この写真のように沢山のイスラムの影響を受け、イスラム教徒の職人がキリスト教徒のために建造したものが、山のようにスペインには残っていますが、これらのレンガをメインに活用した建造物。価値を認めるのは、スペイン人にとっても困難なようです。優れた天文学者が多数いたイスラムの建造物は、非常にモダンで価値を知る人にとっては偉大な建造物が沢山あるのですが、それらが今は全く忘れられていると言っても過言でないと思います。
この教会も、塔が途中で切り替えられていますが、昔(イスラムの時代)は単独の塔だったのだと思います。そこに15,16世紀にアーチ=門が隣接された、ちょっと変な入口ですが、魅力的です。

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すっかり忘れ去られたスペインの古い町を旅する魅力のひとつは、こういう小さい発見にあるのですが、実はこれローマ時代の彫刻です。この町の周辺から出没したものかもしれませんし、ルネッサンス期にこれだけの要塞と宮殿を建造した、城主のコレクションのひとつだったのかもしれませんが、キューピットの寝姿です。運よくとてもいい状態です。このままここにずっとあるといいのですが...

時々、ローマ時代の彫刻が建造物の波片が、建物の飾りになっていたり、柱頭として使われていますが、歴史の流れを実感できます。本当にこういうことを贅沢に思いますが、今そう思う人は少ないようです。

18世紀19世紀スペインを旅したヨーロッパ人は、スペインに普通に残っているこういう文化財に感動し、たくさんのコメントを残していますが、昨日は21世紀にそんな昔と変わらぬ体験をした気分になれました。





ルネッサンスの風 1  Grajal de Campo_c0213220_18591049.jpgアーチをくぐり抜け、道なりに車を走らせると、自然と城主の宮殿に辿り着くようになっています。現在、ある程度構造上の修復が進んでいますが、全面的なリフォームではなく、建物が崩れないようにするためのものなので、根本的な部分は昔のままの状態で観察できます。
ガレリアと呼ばれる町の広場に向かって開かれている回廊は、ここに城主が祭りや行事の時に登場したことを思わせますが、修復前はレンガで柱はカバーされ、酷く醜くなっていました。資料を探してみたら、1998年に所有者がシンボリックな譲与をしたとありました。、なんとそのシンボリックな価格は、6ペセタ。なぜ6なのか分かりませんが、立派なオーナーは、こういう所有権譲与をします。それが出来ない人が多くて、文化財は崩壊しているケースが無数あるのですが。


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さぁ館内に入りたいのですが、入口は...と探し始めると、なんと左の方に極めて細いアーチを発見。くの字に曲がったトンネルのようなものがあります。誰もがそれを見たら入りたくなるような作りなのです。早速私もそちらに吸い込まれたように進みました。ご覧のように、素晴らしいレンガの建築物。昔の人は本当に面白いものを作りましたね。迷路のようです。角も不思議な作りで、これだけでも建築家とオーナーが、楽しみながら設計をしたことが伺われます。










ルネッサンスの風 1  Grajal de Campo_c0213220_1935334.jpgトンネルを登り詰めると、ありました屋敷への入り口。この時、私は建物が町の公民館のようになっていると思い、どうせまたガッカリさせられるのだろうなぁ~と予想しておりましたが、入ってみると、まるで夢のようでした。まだ工事があまり進んでおらず、昔のまま=廃墟状態なのです。誰が修復を担当するかで建物は全く変わるので、こういう手のついていない状態で見るのが、私たちにとっては理想なのです。

ちなみに、この建物はカルロス5世の重臣がオーナー。カルロス5世からフェリペ2世の時代のスペイン式ルネッサンス様式が伺えます。


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いよいよ館内の見学となりますが、それは超長くなるのでまた次回。
どうぞお楽しみに。





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by angel-chiho | 2011-08-15 19:51 | Castilla カスティーリャ
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