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野生のオリーブ『アセブッチェ』
真夏のアンダルシアに今年も野生オリーブの様子を見に行ってきました。
時間が過ぎるのは早いもので記録を見ていたら2009年に初めてアセブッチェを見学し、もう9年も経過してしまいました。2009年にはアセブッチェのオリーブオイルは完成していなかったのですが、5年ほど前から正式にオイルの販売も開始されるようになりました。世の中にある素晴らしいオイル全てを販売する事は難しいのですが、出来る限り偉大な人が作る貴重なオイルには関わりたいと思って活動しています。このアセブッチェもそのひとつなのです。

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アセブッチェが生息する世界一のオリーブ産地ハエン。巨大なオリーブ農園が存在しますが、アセブッチェの生息する場所は岩場の丘の上。オリーブ栽培が実施出来ない険しい場所です。野生のオリーブは動物に食べられないように、岩と岩の間に隠れるように生まれ、強いとげのあるものもあります。
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この小さいオリーブでさえ4,5年もの。人工的に品種改良され栽培されているオリーブの10倍くらい成長するのに時間が掛かります。
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これが最もかっこいいアセブッチェのひとつ。すごい幹が太いことが分かると思いますが、こうなるには500年くらい掛かっています。石器時代まだ人間がオリーブの栽培が出来なかった頃から、人々は実を摘んで潰して活用していたそうです。人間の知恵でこの野生のオリーブを少しづつ交配する事を繰り返し、最終的に今日の栽培用のオリーブが完成していますが、野生のオリーブの生命力はこれから益々注目されると確信しています。

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アセブッチェの虜であるオーナーのルイス。彼は私の重要なオリーブの先生でもありますが、価値観に共感できるものがたくさんあるのでビジネス関係なく長い間お付き合いしています。今回の訪問はタイで活躍する美容の専門家と共に実施しました。彼女の情熱がきっとアセブッチェを導いてくれると思っています。

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アセブッチェと共にワイルドケッパーが生息していることも発見しました。前回はタイムやローズマリー、ワイルドラベンダー、エニシダなどが目についたのですがケッパーには気づきませんでした。ケッパーと言ってもアンダルシアには巨大なケッパーが存在し、私も大好物で行くと必ずマーケットで探して買うのですが、その巨大ケッパー『アルカパロン』がかなり実っていました。

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こちらがアルカパロン。普通のケッパーの10倍から20倍の大きさがあると思います。この漬物の美味しさは言葉では語れません。オリーブと同等の旨さなのです。
話がオリーブからそれてしまいましたが、オリーブ周辺に生息するハーブはとっても大切です。なぜかというとオリーブはその実の皮を通して周囲の植物の香りを吸収していきます。野生のハーブのデリケートな香りは間違いなくオリーブが吸収し、繊細な何層にも重なる香りとなってオリーブオイルの中に反映されます。

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そして、今回なにより驚いたのがアセブッチェの想像を絶する生命力。この写真に新しいオリーブの実と黒く昨年の実が残っているのがわかりますか。そうなんです。1年以上時間の経過しているオリーブの実が、アセブッチェの場合枝から落ちずに付いたまま7月になっても残っているのです。普通のオリーブならば成長しないものはぽろぽろと落下し、栄養分が行き渡っている実だけ大きく成長し、最終的に熟しきった時に落下するようになっています。アセブッチェは黒く熟しても落下せず枝についているのです。どんなに強い植物なのか知れば知るほど圧倒するパワーのあるオリーブの原種。この実が持つ可能性はまだまだこれから発見されていくと思います。

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極めて小さいアセブッチェの実。これから大きく普通のオリーブの大きさに成長すると思われるかもしれませんが、アセブッチェは超小さいので、大きくなっても恐らく2倍から3倍くらいまでです。全て自然任せのオリーブなので大地からの栄養と天の恵みの雨で生き延び、実もギリギリまでしか成長しませんが、とてつもないエキスを含んでいます。オリーブが永遠性を表し万能薬であったのも、きっとこのオリーブと関係していると思います。そんなパワーを感じさせてくれるアセブッチェ。訪問後、なぜかエネルギーチャージできた感じです。アセブッチェ三昧の食事についてはまた次回。



野生のオリーブ『アセブッチェ』_c0213220_3241139.jpgスペイン料理の本も書くチャンスに恵まれました。伝統的な家庭料理がお好きな方にオススメです。私が美味しいと思った料理で、日本でも簡単に作れるレシピを集めています。アマゾンで好評発売中。1470円
by angel-chiho | 2018-07-07 08:06 | Olive オリーブについて
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