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カテゴリ:Art 美術( 22 )
聖なるモラレス Luis de Morales


ここ数年どうしても観たいと思っていたスペイン美術の傑作のひとつをやっと観に行くことが出来ました。

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スペイン美術は宗教と密接な関係にあるのである意味とっつきにくいと思うのですが、段々と聖書がテーマであっても絵を一枚一枚鑑賞していくと、奥深い精神性や神秘的な世界に引き込まれ単に美しい、キレイな作品だけでは満足できなくなっていくように思います。今日ご紹介している『聖なるモラレス』と呼ばれる画家は、ルイス・デ・モラレスという名の16世紀大成功した画家で、エル・グレコと同時代に活躍していました。残る作品の大部分が宗教画ですが、特に聖母マリアを描いた作品は有名です。作品があまりにスピリチュアルで人々の心に響いたので、当時から大成功を納め『聖なるモラレス El Divino Morales』と命名されていたのです。当時のスペイン人が感じたような精神的な感動は、現在人でもしっかりとキャッチできると思います。

写真はポルトガルとスペイン国境の極めて小さい町Arroyo de la Luzに残る彼の傑作。祭壇画20枚がほぼ完ぺきな状態で守られています。モラレスはここに2,3年在住しながら作品を完成させたようですが、ナポレオン軍侵略、宗教的財産没収、内戦など、スペイン美術が過去250年に遭遇した危機的な状況を奇跡的に免れ残っています。

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作品の素晴らしさは写真からも十分伝わると思いますが、21世紀の今でもイルミネーションは不十分。ボランティアの管理人があらゆる機関に働きかけているようですが、困難な事は山のようにあるようです。スペイン各地の名もないような村や町に残る美術品は、今も昔も地元の人の愛情がなかったら絶対に消えてしまっていたことは確かです。文化財は税金で守られるような状態ではまだまだないのです。

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最近、作家、伊集院静さんの本を幾つか読んでいるのですが、スペイン美術について語る本に登場する画家は相変わらずゴヤ、ピカソ、ミロと決まった画家ばかり。時々エル・グレコについて書いている人がいますが、圧倒的に同じ画家ばかりというのが残念でなりません。ありとあらゆるスペイン全国の教会や修道院を巡ってスペイン美術を観ているので、もう少しスペイン美術が日本で浸透しないことが悲しくてなりません。これから世界のトップレベルクオリテティーを持つスペイン美術については、本気で紹介できるように活動しないといけないと、実は最近自覚しました。

この決意はモラレスの祭壇をボランティアで守っているキティン・カサーレスさんのような人に巡り合うとより強いものになります。彼は退職してからずっとこの教会のあらゆる雑用をしながら祭壇画も管理しているそうです。誰一人教会に来る人がいない日も、絵と話ながら仕事をしているそうです。過疎地帯にあるような教会は雨漏りなども頻繁で、誰かがしっかりと管理をしていないと、屋根の下にある美術品はすぐに被害を受けてしまいます。大きい空間であればあるほど、毎日目を光らせている人が必要なのだと思います。

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キリスト教がテーマなのでどうしても敬遠しがちなスペイン美術。でも、一歩踏み込んでみると今も変わらない日本人も共感できるような無言の精神性が隠れています。これだけ偉大な色彩感あふれる絵画が、16世紀スペインの町には存在し、それを当時からどんな形でも守り続けてきた人々がいたのです。それが無料で誰に邪魔されることもなく、当時とほぼ同じような状態で愉しむことが今でも可能です。

ここにたどり着くのは難しいかもしれませんが、一種の巡礼のように作品に辿り着いて観た時の達成感と感動は感慨無量です。スペインにはそんな美術品や偉大な建造物が数多く残っています。一般的な観光ルートとは全く違うものになりますが、深い歴史を感じるためにはそんな旅をすることをお薦めしたいと、最近強く思っています。


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by angel-chiho | 2018-12-21 06:59 | Art 美術 | Comments(0)
偉大な画家イグナシオ・スロアガ
4月は目まぐるしく過ぎ去り、5月はあっという間に半分過ぎてしまいましたが、ここ数か月とても充実した時間を日本とスペインで過ごしておりました。今日は4月思いがけず参加することが出来たバスクでの思い出を書きたいと思います。

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ここはバスク地方Zumaiaスマイアにある19世紀から20世紀初頭に活躍したスペインの天才画家スロアガの家。個人的に最も尊敬するスペイン人のひとりです。スロアガは当時忘れられかけていたエル・グレコのような画家を新たにパリで再発見させるような活動をし、スペインの魅力を世界で発信した人物。その生き方がこの上なく魅力的です。ゴヤの生家も当時買い取り修復し、現在もゴヤの家として博物館として残しています。ゴヤの遺体をフランスからスペインに運んだのもスロアガであり、偉大な作品以外に多くの偉業を残しています。カスティーリャの最も美しい村のひとつPedrazaペドラサに残る中世の城の修復もしており、彼のエネルギッシュさそのものを表しています。

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そんな素晴らしい画家のひ孫さんが現在は財団法人を運営しているのですが、運よくパートナーの同級生なのでチャンスがあると色々スロアガの作品を見せていただいたり、アトリエのある城などの取材もさせていただいています。今回もばったりセビリャの美術館で出会い、バスクジプシーからのスロアガへのオマージュイベントに参加することになりました。画家スロアガは闘牛士でもあり、アンダルシアでの生活経験でフラメンコやジプシー文化にも深く精通していました。100年も前からジプシー文化の偉大さを評価し、音楽家ファリャが企画するアルハンブラ宮殿でのフラメンコフェスティバルには多大な応援をしながら参加したことも有名です。イベントはメディアで紹介されていたので、私は感動したスペースを幾つかアップします。

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画家スロアガのスピリットとバスクの空気を満喫しながら芸術的な週末を過ごすことが出来ました。こういうのが癒しの時間だと心から感じられるものでした。屋内は画家スロアガの作品だけでなく、彼の叔父陶芸家ダニエル・スロアガの作品も豊富で、500年も続くスロアガ家のレガシーが満ち溢れています。呼吸と共に芸術が身体の中に入ってくるような感じです。
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インテリアはスペインとバスク、アンティークとスペインの民族衣装。闘牛士やフラメンコの衣装がテーブルクロスやカーテン、クッションとあらゆるところで使われており、テキスタイル好きの私には夢のような空間で、今後自分の家の修復のために数多くのアイデアをいただいて参りました。

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ベルベットにレースのイニシャル。本当に素敵な組み合わせでした。

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素晴らしいバスクの伝統家具。画家スロアガの集めた家具だけでなく、彼の夫人のアンティークコレクションも部屋を飾っており、それらを滞在者は生活用品として今でも使うことが出来るのが何よりすごい事でした。洋梨の静物画はスロアガ末期の作品。このグレーの使い方と洋梨の質感にはスペイン絵画の歴史とタッチが全面的に感じられ涙が出るほど美しい。

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テーブルクロスも陶器も伝統的なものを使ったテーブルセッティング。イベント後のランチまでスペイン一色で開催されました。

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隅々まで演出されたインテリア...



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本当に気持ちのよい天候だったので、庭でティータイム。お菓子もホームメイドのしっとりと焼けたクッキー。レシピが知りたいくらいでしたが、庭での空気が美味しすぎてレシピを書く気力はありませんでした。

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私たちの寝室にあった作品。感動しすぎてなかなか夜は眠れませんでした。写真を見るとまだこの週末の余韻が感じられ、あらためてスロアガファミリーとスペイン絵画の重みを体感出来たことを嬉しく思っています。




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by angel-chiho | 2018-05-17 07:42 | Art 美術 | Comments(0)
アランフェス Part 2
前回に引き続きアランフェスについてアップします。今日はアランフェスの庭を好んで描いた画家サンティアゴ・ルシニョールの描いた場所をご紹介します。

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王宮の庭はハンティングが出来るくらいですから広くてじっくりと観るためには何日も掛かりますが、今回思いがけず散策した場所は、ルシニョールが幾つか違うバージョンを描いて有名な糸杉のトピアリーがある地区ででした。ルシニョールという画家はスペイン中の庭園を描いており、庭園画家とも呼ばれます。そんな彼が好んで描いていたトピアリー...遠くから見た瞬間に感激。

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私が訪問した時は真冬で全く植物がないのですが、ルシニョールのこの作品は秋の光を感じます。多分ルシニョールがこの庭を描いた頃の方が庭の保存状況は良かったのではないかと思います。この後スペインは悲劇の内戦を迎えていますから、相当庭も宮殿も破壊されているのです。

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絵を描いているルシニョールの姿。こういう画家の姿も最近あまり見かけないような気がするのですが、私だけでしょうか。

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こちらは『ヒヤシンスの噴水』と呼ばれるアランフェスで最も美しい噴水のひとつ。こちらもルシニョールが描いています。

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素晴らしい秋の風景...次回はこの季節にこの噴水を見たいものです。

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こんな立派な彫刻が庭にあると散歩の品格も変わります。当時の人はどういう気持ちで庭を散策したのか分かりませんが、ルシニョールがこの噴水を描きたくなった気持ちは良く分かります。ヘラクレスが噴水を支えているポーズですが、プロポーションも表情もクラッシックな趣味が強く感じられ、古典的な美が完璧に表現されています。近くにいたら毎日でも見たいくらいの偉大な彫刻です。

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どのアングルから見ても言うことなしの美しさ...

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町の中心部で偶然ルシニョールがアランフェス滞在中に使っていた建物を発見しました。壁にはルシニョールを偲ぶ人々が貼った大理石の標石がありました。彼は絵を制作中のこのアランフェスの町で他界したそうです。熟年彼のインスピレーションとなった庭は、スペインという国の重みを感じるところばかりでした。

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ルシニョールのことを考えながら庭を訪問したわけではなかったので、思わずルシニョールの空気に触れられ大満足。おまけに小春日和で日光浴まで楽しめました。
皆さんがアランフェスに行く際には、是非ルシニョールの作品を検索してから行ってみてください。感動が倍増すると思います。

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by angel-chiho | 2016-02-25 08:26 | Art 美術 | Comments(2)
Vanitas ヴァニタス

ヨーロッパに中世からあるという人生の虚しさを寓意的に表現する絵画の世界...こういうドクロがゴロゴロしているような絵画は、はっきり言って二十歳頃は目を避けてしまうようなジャンルでした。が、年齢を重ねるごとに不思議なもので、こういう世界に惹かれるのですよね。30代くらいから、このVanitasヴァニタスと呼ばれる空虚の世界には、どうも引き込まれてしまっています。

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マドリードのAcademia de San Fernandoにあるこの作品。Vanitasを表現している絵画としては、もっとも美しい作品だと思います。通常、Antonio de Peredaという画家の作品と思われていましたが、数年前からFrancisco Palaciosの作品ではないかという論争もあります。

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この作品は"El Sueno del caballero"【騎士の夢】というタイトルがついています。ピッタリすぎるタイトルですが、デスクの上に並ぶ財宝や時計、仮面など全てが象徴的に人生の儚さを表現しています。騎士の上に現れた天使がメッセージを持っていますが、ラテン語で"Aeterna pungit, cito volat et occidit"という言葉が書かれています。メッセージの中間に、騎士の方に狙いを定めた弓矢と背後には太陽。ラテン語の意味は、【永遠に傷つけ、迅速に飛び、殺す】。時間は人に傷跡を残しながら飛ぶように過ぎ去り、いつか死をもたらすということ。こんな美しい作品に、こんなメッセージが含まれていると知ると、より弓矢を射られたようなインパクトがありますが、17世紀スペインの黄金時代、繁栄を極めていたはずの当時のスペインで、どのくらい貧しい精神が蔓延っていたのか想像させてくれる作品です。

私も年齢と共に、こういう作品の奥深い美しさをじっくりと愉しめるようになって来たのかと思いながら、この絵を鑑賞してまいりました。スペインを訪れるチャンスがあったら、是非、この作品またはセビリャにあるValdes Realヴァルデス・レアルなどの、Vanitas の傑作を鑑賞することをお勧めします。


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by angel-chiho | 2015-02-18 08:17 | Art 美術 | Comments(0)
あるタペストリーの話
スペインに来たばかりの頃から、タペストリーには特に魅了されていたのですが、スペインとタペストリーの関係を知れば知るほど、この国の歴史や伝統を知るためには、切っても切り離せないものであることがわかり、益々タペストリーにはのめり込んで行きました。(あげくの果てには、ニードルポイントまでするようになってしまいました。)

このタペストリー好きの原因になったのは、パートナーのファミリーのアートコレクションと、その取り巻きのコレクターの方々のおかげだと思うのですが、織物は日本人なので余計惹かれたのかもしれません。あるコレクターのサロンに、インパクトがあり繊細で偉大なタペストリーが25年以上前からあり、このタペストリーの品質が、私のタペストリーを観る時の基準になっていました。

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それがイギリス王ヘンリー8世のタペストリーであることが、今週発表されたのです。タペストリーの品質は最高レベルのものであることは、コレクターの間では誰もが知ることだったのですが、誰がいつなぜこのテーマの作品をオーダーしたかは、全くわからなかったので、とにかく嬉しい感動的な驚きでした。

コレクターの間では、いつも興味深い発見が、絵画、彫刻、調度品どんな美術品でもあるのですが、今回のタペストリーは、私にとって思い込の強い作品だったことと、ヘンリー8世という歴史好きにはたまらない魅力のある国王のオーダー品ということで、忘れられない経験となりました。これはきっと長年、パートナーや仲間の間では話題になる大事件になるはずです。

現在のところタペストリーは、友人宅で今までとおり飾られているので、しっかりと記念写真を撮ってきました。




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by angel-chiho | 2014-01-26 08:08 | Art 美術 | Comments(0)
Caixa Forumの展覧会『ジャポニズム』

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雨が相変わらずよく降っておりますが、少し青空が広がったので、前々から観たかった日本とスペインの国交400周年記念の展覧会のひとつ、カイシャ・フォールムで開催されている『ジャポニズム』へ行って参りました。








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この建物は古い工場を、この美術館のためにリフォームした、マドリードでは比較的新しい美術館。モダンな建造物の中では、一番素敵なものだと思います。いつ行ってもあちらこちらに感じるものがあります。建物前にある、垂直な壁面ガーデンもとってもオシャレ。オープン当時から比べると、相当植物が大きくなりました。




特に好きなのは、この階段。あまり現代建築で階段を眺めていたいところはないのですが、ここの階段は見とれてしまいます。



展覧会は、日本から南蛮時代に伝わった螺鈿の家具や鎧など、典型的な日本とスペインの関係を示す展示品から始まりますが、やはり興味深いのは、日本美術の影響を受けたスペイン人の作品。きっと展示されているだろうと思っていたMariano Fortunyマリアーノ・フォルトゥニーやSantiago Rusinolサンティアゴ・ルシニョルの作品は、何度観てもやはり感動的。Julio Romero de Torresフリオ・ロメロデトーレスの作品が、残念ながらなかったのですが、アンダルシアでも同じような展示会があるので、きっとそちらに集められているのだと思います。ピカソやミロもありましたが、あまり感動する作品ではありませんでした。

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いつもジャポニズムの世界を語る時に登場するフォルトゥニーの『ジャパニーズサロンの子供たち』がこちら。(写真はウィキペディアより)何年も前にも観ていますが、こういうアーティストの傑作のひとつは、心に刻まれてしまうので、何度観ても本当に美しさに圧倒されます。小さい作品なのですが、繊細で色彩はブルーとグリーンでシルクとビロードのような光沢。植物とのバランスといい、素晴らしいとしか言いようがありません。子供が画家の子供たちだということも、この絵の美しさの理由のひとつだと思いますが、左側の男の子が後年、デザイナーとして成功するフォルトゥニー...彼の衣類のデザインとテキスタルデザインのベースに、この絵の世界が存在すると思うと、色々理解できます。

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残念ながら一番感動した作品の写真は見つからないのですが、ルシニョルの作品でした。作品の代わりに、ルシニョルの写真をアップします。この写真からだけでも、ルシニョルの繊細さが伝わると思いますが、作品は、シッチェスにあるCau Ferratと呼ばれる彼のアトリエの絵で、日本の屏風が作品に描かれていました。きっと気に入っていたのでしょう。そして、その屏風の横に画家の娘がたち、絵を描いている画家の方に視線を向けているのですが、その構図と距離感が素晴らしいのです。描かれている植物も緻密で、超現実派の絵のようです。ただ、このジャポニズムの世界に生きた人たちは、空気にある特定のベールのようなものがあり、浮世絵が描いたような、浮遊の世界があるように思います。

(写真はウィキペディアより)









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最後に微笑ましかったのは、和服で描かれていたアルフォンソ13世の子供の頃の色つけされた写真。掛け物として加工されており、本当に素敵な作品でした。やはりこの作品にもベールがかかっていました。

こちらの展覧会、2月のはじめで終了ですので、どうぞお早めに。


(写真はartealdirectoより)









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by angel-chiho | 2014-01-23 03:46 | Art 美術 | Comments(0)
フェリペ2世の聖遺物箱 Relicarioレリカリオ

11月1日は『すべての聖人の日』。スペインのお彼岸のようなものでお墓参りに行くのが習慣です。
私は1日に行くとすごい人なので、いつも少しづらしてお墓参りに行くようにしているので、昨日は紅葉を楽しむために近所のエル・エスコリアル修道院へ行って参りました。

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今までエル・エスコリアルへ行く度に、フェリペ2世の寝室を見たり書斎を見たりしていると、彼の好みや性格を色々想像することが出来るし、特に専門書に書いてあるフェリペ2世の姿が正しいのか、現実的ではないのか判断して愉しんでいました。

その中で前々から不思議だったことがひとつ...それが生前フェリペ2世が収集していたという膨大な聖遺物。死後の記録を読んでも本の数や聖遺物の数はかなり正確なデーターが残っているのです。当時の人にとって聖遺物は大変神聖なもので、日本であれば舎利殿に保管するような大切なもの。一体どこに保管されているのかなぁ~とずっと思っていたのです。

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これがフェリペ2世の集めた聖遺物の数々。16世紀の細工が施された宝物のような箱に世界各地から集められた聖人の骨やゆかりの物が納められています。左上の写真では、実際の大きさが分からないと思うのですが、エル・エスコリアル修道院の世界でも有数の大きさのチャペルの壁一面が棚になっていて、普段は扉がしまっているので、一種の祭壇画と錯覚してしまいます。
高さは10mくらいある棚で、そこにビッシリとレリカリオが並んでいます。おまけにこの家具1つあるだけでなく、祭壇の両側に対になって設置されているのです。つまり男性と女性に分けて存在するのです。




写真はエル・エスコリアル修道院のHPから

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こちらの写真でどんな感じか分かると思います。ずっとどこにあるのか不思議に思っていたフェリペ2世ゆかりの聖遺物なので、私にとってはとても感動的でした。美術品としての価値も深く、スペイン各地に残るこのような聖遺物の中でも、流石フェリペ2世のもの。重厚感のある圧倒的な美しさでした。

こういうモノを見ると、フェリペ2世にとってどのくらいこれらの聖なるお守りが必要なものであったのか、彼の精神的な世界を垣間見ることができたように思います。

残念なのはこの聖遺物、年に5回=5日間しか公開されません。写真撮影も禁止されています。

歴史、特にフェリペ2世、スペインルネッサンス期に興味のある方には必見の一品だと思います。次はクリスマスの日に公開されるそうです。




写真はforesbarから。

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by angel-chiho | 2012-11-03 03:49 | Art 美術 | Comments(0)
週末のセビリャ

週末セビリャへ行くことがあったらオススメしたいところがあります。
プラド美術館に次ぐ高品質の絵画美術館として知られるMuseo de Bellas Artes de Sevilla。この美術館の前には美しい広場があるのですが、週末そこに画家が集まって直接作品の販売をしています。ギャラリーなどを通さずに、直接自分でお客さまとの交流を持てる場所として評価されています。マドリードのマヨール広場もそうなりますが、セビリャの方が質がいいように思います。

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今回はシンプルなどこにでも飾れそうな絵があったので、久々に私も絵を買ってみました。もうかなり家に置いてありますが、いい感じです。ものによっては自宅に持ち帰ってから気に入らなかったりするので。
ある程度の金額のものから数千円のものまで、結構あらゆる価格のものがあるので家のインテリアなどを選んでいる方には特にオススメです。

セビリャのような町を散策した後は、こういう思い出の品があると余計セビリャの空気を満喫し続けることができるような感じです。


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by angel-chiho | 2012-07-10 01:25 | Art 美術 | Comments(2)
プラド美術館 ラファエルとムリーリョ

この間プラド美術館で開催されているラファエルとムリーリョの展覧会へ行ってきました。一言で”El Ultimo Rafael"というタイトルのラファエルの展示にはガッカリ。工房の作品が多く、ほとんどが弟子ジュリオ・ロマーノの作品。もう少し期待していたのですが...

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感動した作品はこちらだけでした。
これはルーブル美術館所蔵の作品ですが、いつ観ても感動します。天才の色遣いは違いますね。見れば見るほど関心します。これはまるでレオナルドの作品のようにエスフマートの空気が漂っていて、ラファエルの繊細さが100%感じられる作品でした。

展覧会全体はいつもプラドにあるラファエルの作品が、ジュリオ・ロマーノをメインとする弟子のデッサンで囲まれ、数点他の美術館所蔵の作品も来ていましたが、主役はやはり写真の作品。他は作品のセレクションも疑問に思うようなものばかり。個人的には趣味も悪く感じられました。

気を取り直して2階のムリーリョの展示会へ移動。






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Photo from Museo de Prado

こちらはEl triunfo de la eucalistia. この作品の素晴らしさは実物でないと伝わりません。大きな教会の祭壇画ですが、他の作品と共に今回の展覧会の傑作のひとつ。ラファエルの展示でラファエル本人の素晴らしさが伝わってくるような作品は1点しかなかったので、ムリーリョの会場に入るなり感動的でした。会場がムリーリョの空気に包まれていました。

それにしても最近に美術館コンセプトは?マークのことばかり。有名な画家の展示は物凄い混雑しているので駅や空港で絵を見ている気分になります。美術大好き人間でもこのような環境では絵は見たくなくなる一方だと思うのですが...そうとう意識を変えて改革しないと、益々美術館には行く人が少なくなるようになるなぁ~と思う一日でした。


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by angel-chiho | 2012-07-07 20:44 | Art 美術 | Comments(0)
Zafraと画家スルバランZurbaran


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スペイン人の有名画家というとベラスケスやゴヤ、ピカソなどが頭に浮かぶのではないでしょうか。どの画家も素晴らしいのでチャンスを作ってじっくりと観る価値があると思います。この間アンダルシアから戻る途中、疲れていたので途中の町ZAFRA(サフラ)に泊まることにしました。


サフラのパラドールは、エル・エスコリアル修道院の建築でも有名なホワン・デ・エレーラが中世の城を改造した建物。典型的なルネッサンスの大理石パティオが魅力。何度か泊まりましたが、町全体も可愛いくエクストレマドゥーラの特徴を強く感じられるところなので通り過ぎるのはもったいなくてついつい停車してしまいます。

いつもは必ず何か予定があり、その途中で寄っているのですが、今回は珍しくマドリードに帰るだけだったので十分にサフラを満喫しました。





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実はこの町には、お気に入りの画家スルバランの作品があるのです。スルバランはサフラの近くのもっと小さい町で生まれ、生家は現在は博物館になっているほど。残念ならがそちらの生家の方には、何ども寄りたい寄りたいと思っているのですが、まだ実現していません。







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今回はやっと前々から実物を観たいと思っていたスルバランの作品があるLa Candelaria教会へ行くことができました。開館時間が変わっているので、訪問する方は調べることをお薦めします。私はパラドールで尋ねたのですが、なんと19:30に開館。なぜ今まで訪問できなかったか想像してもらえると思いますが、スペインの教会のオープン時間はそれぞれ全く違いますし、シーズンによって変わるので運が良くないとなかなか中が見られません。













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教会内は通常有料で電気がつくようになっています。そのコインを入れるところを探すのに、今回も苦労しました。なかなか暗い空間に目が慣れないし、ひどいところに装置が隠れているのです。私達の後に入ってきたイギリス人観光客はもっと酷くて、コインを入れたのに電気がつかなくて困っていました。パートナーがすぐに教会内にいた神父を捕まえてくれたので、問題は解決しましたが、スペインで美術品を観る旅は一筋縄では行きません。












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この祭壇画はスルバランの傑作のひとつ。ムリーリョやスルバランの特徴は絵にある温かさだと思うのですが、スルバランはよりカントリースタイルの柔らかい温かさがあると思います。どの作品を見ても感動的でした。教会でのバランスを考えてスルバランがどんな風な効果を狙っていたのかも想像できるようです。
祭壇の下の方はパトロンファミリーの肖像が並んでいますが、流石スルバラン、眼差しが語りかけてくるような偉大な肖像画です。


こういうのを豪華な空間と言うのだと思いますが、建造物と祭壇の家具としての価値も素晴らしく、そこにスルバランがあればもう言うことはありません。独特の空気の中で昔ながらのスルバランを満喫するには、サフラやグアダルーペ(他のスペインの町)が最高だと思います。




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by angel-chiho | 2012-05-29 01:11 | Art 美術 | Comments(0)





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