ここ数年どうしても観たいと思っていたスペイン美術の傑作のひとつをやっと観に行くことが出来ました。 ![]() 写真はポルトガルとスペイン国境の極めて小さい町Arroyo de la Luzに残る彼の傑作。祭壇画20枚がほぼ完ぺきな状態で守られています。モラレスはここに2,3年在住しながら作品を完成させたようですが、ナポレオン軍侵略、宗教的財産没収、内戦など、スペイン美術が過去250年に遭遇した危機的な状況を奇跡的に免れ残っています。 ![]() ![]() ![]() この決意はモラレスの祭壇をボランティアで守っているキティン・カサーレスさんのような人に巡り合うとより強いものになります。彼は退職してからずっとこの教会のあらゆる雑用をしながら祭壇画も管理しているそうです。誰一人教会に来る人がいない日も、絵と話ながら仕事をしているそうです。過疎地帯にあるような教会は雨漏りなども頻繁で、誰かがしっかりと管理をしていないと、屋根の下にある美術品はすぐに被害を受けてしまいます。大きい空間であればあるほど、毎日目を光らせている人が必要なのだと思います。 ![]() ここにたどり着くのは難しいかもしれませんが、一種の巡礼のように作品に辿り着いて観た時の達成感と感動は感慨無量です。スペインにはそんな美術品や偉大な建造物が数多く残っています。一般的な観光ルートとは全く違うものになりますが、深い歴史を感じるためにはそんな旅をすることをお薦めしたいと、最近強く思っています。 ![]() #
by angel-chiho
| 2018-12-21 06:59
| Art 美術
セルバンテスは1605年に『ドン・キホーテ』を出版しています。スペイン語とは興味深い言語で江戸時代の言葉を、現代人が読んでもなんとなく分かるのです。私の印象では江戸時代の文学を読んでも非常に難しくて95%は理解出来ないように思うのですが、スペイン語の場合もちろん内容は深く理解する事は出来ない部分が多いのですが、言葉遣いはかなり分かる部分が多いのです。特に『ドン・キホーテ』の1ページ目はスペイン文学の傑作ページの一つなので、本当に原語で読んで理解することが出来ることが幸福だと思います。 料理の世界はもっと変化が少なくて『ドン・キホーテ』の舞台となるラ・マンチャ地方には、セルバンテスの時代の料理が今でも同じようなスタイルで数多く残っています。伝統料理のレストランに行けば今流にアレンジされているとは言え、基本的に昔のままの料理が堪能できるのです。これはスペインの静物画を観ても確認出来る事実で、全く形姿変わらないお菓子や料理が多々絵に描かれています。それでは本題の『ドン・キホーテ』スタイルの料理をご紹介します。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() セルバンテスと料理についてもっと知りたい人は、『ドン・キホーテ』の翻訳家荻内勝之先生の本を読むといいでしょう。私は運よく荻内先生とは一度仕事をご一緒させていただいた事があるのですが、先生は歌舞伎ファミリーに生まれ、その日本歌舞伎界の膨大なボキャブラリーを使って現代人にも分かるように『ドン・キホーテ』を翻訳している偉大な人です。セルバンテスときっと酒場で酔っ払えたような人物なので、『ドン・キホーテの食卓』という先生の本もかなり飛んでいる話が色々出てきますが、この時代の事に興味がある人は楽しめる内容だと思います。 ![]() #
by angel-chiho
| 2018-12-10 05:05
| Food Culture 食文化
秋も終わりに近づくと暖炉があるバルやレストランで伝統料理が食べたくなります。12月は今年最後の連休があったので、25年振りくらいにラ・マンチャのウクレスという町へ行っていました。別の機会にドン・キホーテ料理については書こうと思うのですが、ラ・マンチャではセルバンテスが1605年に発行した『ドン・キホーテ』の中で登場する当時の色々な料理が今でも楽しめます。今日はそれよりももっと古い『オートミール』のような古代から食べられていたと思われる料理についてご紹介します。 ![]() 通常写真のようなスタイルで食べるので一人で一人前日本人の私が食べるのは大変なのですが、あるレストランで美味しい食べ方を発見しました。オリーブオイルで揚げたポテトにガッチャスをまるでソースのように掛けて食べる方法です。これは超気に入ってしまったので、今度この料理をマスターしたいと思っています。ベーコンやチョリソの他にやはり自家製スープなどをプラスするとよりコクのある味付けになると思っています。スパイスも重要ですが。 #
by angel-chiho
| 2018-12-09 03:40
| Food Culture 食文化
11月12月はオリーブの収穫真っ只中。何度もオリーブ農園を訪問します。カサス・デ・ウアルドという優れたメーカーに行くと、よく食べさせてもらうシンプルな野菜料理を紹介します。 ![]() スペインではほとんどの料理の基本的な味付けが塩だけで実施されます。プラスされるものと言えばにんにく。この野菜料理にも膨大な量のにんにくが入っていますが、にんにくとオリーブオイルはスペイン人の長寿の鍵だと思います。優れたオリーブオイルは野菜だけでなく食材全般の旨みを引き出す能力があるため、こんな塩味だけで作る料理も目を見張るように美味しく仕上がるのです。 ![]() 是非、皆様も今度こんな風にじっくりと野菜を塩味だけで上質なエクストラヴァージンオイルと共に調理してみてください。キイポイントはたっぷりオイルを使うこと。日本人の感覚だとおそらく通常の3倍から5倍の量のオイルを使うべきだと思います。オリーブオイルはきめの細かいライトなオイルなので軽く、かなりの量を入れないと足りません。特にこのタイプの野菜料理にはたっぷりお使いください。 参考価格 9000円(税別) ![]() #
by angel-chiho
| 2018-12-06 07:33
| Olive オリーブについて
私が選んでいるアーリーハーベストについて少しお知らせします。毎年日本向けに空輸しネットやショップで販売しているアーリーハーベストという早摘みオリーブオイルがありますが、これ実は特注で作ってもらっており、一般的にオリーブオイルと言えるものではない状態のものを特別瓶詰しています。 ![]() アーリーハーベストにはピクアルという品種が使われています。 今年は世界一のオリーブ生産地であるハエンのMONVA社を選びました。この会社の活動の素晴らしさは何度か記事にしていますが、野生のオリーブを収穫してオイルにしたり、誰もやらない事にチャレンジしているところにあります。感銘を受けてからもう10年くらいお付き合いを個人的にしてきました。とても文化レベルの高いファミリーです。こういう特殊なものの制作は簡単に受けてはもらえないので、今まで何とか作ってもらって来ましたが、オリーブに対する想い込みが深ければ深いほど共鳴を受けられる部分が多いメーカーとコラボしたいと思うようになり、今年はMONVAにオーダーをするに至りました。 オーダーしたのはいいのですが、今年は雨が多く気候も変だったので収穫が遅れに遅れ、やっとのことでアーリーハーベストの収穫になったと思っていました。ところが直接農園に行ってみると11月の2週目であるにも関わらず、圧搾所は静まり返っており人もあまり農園で見かけません。なんと本格的な収穫はまだ出来ないというのです。私がオーダーしたオイルだけ農園内で一番早く良いコンディションで成熟する地域のものを選んで、どのオイルよりも先に圧搾してくれました。ここを選んで間違っていなかったことを確信しましたが、予想した約束の日程に搾れなくて彼らもハラハラしていたようですが、こんな風に対応していただき本当に嬉しいの一言です。 ![]() ![]() ![]() ![]() #
by angel-chiho
| 2018-11-14 23:03
| Olive オリーブについて
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25年以上に及ぶスペインでの生活で発見した私なりの美しくてシンプルな伝統と歴史を感じさせてくれるスペインを紹介中。
オリーブオイルやワインのこと、スペイン美術、旅や食についてことが主なテーマです。 スペインについて色々なコンサルも承っております!コーディネート(雑誌、テレビ)、インポーター・バイヤーのアテンド、翻訳、日西関係のコンサルティング、ご相談はまずはメールでお知らせください。 Email: angel-chiho-spain@nifty.com Angel&Chiho -Profile- -掲載雑誌一覧- mixi -シークレットスペイン(コミュニティ)- スペインとオリーブの専門店 -Chihoのオリーブ便り- ![]() 旅行口コミ情報 トリップアドバイザーのお勧め ブロガーに紹介されました★ リンク RIKAのSKIP気分Haruki's way 抹茶のレシピ Grazie mille Recuerdos, anoranzas y semblanzas Lo invisible en el arte アロナチュラ Leyendas de la Mota del Marques FILEファイル 素食な生活 美容家吉川千明のオーガニックビューティー 続*ジャスミンの料理手帖 みどりの雑貨屋 帆足本家『富春館』 庭園小噺 お気に入りブログ
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